『桂紅雀独演会』

『桂紅雀独演会』

 
『第1回 桂紅雀独演会』に行く。
 
紅雀さんの初めての独演会。
 
最初は雀五郎さん。
演目は「手水廻し」。
 
高座番はとま都さんであった。
 
紅雀さんが登場。
普段の落語会での出番の際よりも、長く暖かい拍手が続く。
演目は「青菜」。
導入部からして一味違う。
旦那さんが二度三度声をかけても、植木屋さんは庭木に集中していて耳に入らない様子。
樹木に手を入れては首をかしげたり、切り落とした枝を共学の表情で目で追ったり。
 
植木屋さんが旦那さんに柳陰を注いでもらったあたりで、一人のお客さんが席を立った。
足音が響くし、ドアがバタンと鳴る。
顔は紅雀さんの方を向いているのだが、会場のお客さんの意識の何割かはそちらに行ってしまっている。
その雰囲気を感じ取った紅雀さん。
お客さんが帰った事を噺の中で言及し、笑いに変えた。
 
ゲストはこごろうさん。
紅雀さんの逸話を話す。
楽屋にて、「くっしゃみ講釈」でこごろうさんのギャグを使わせて欲しいと申し入れた紅雀さん。
今日の今日かい、と。
 
紅雀さんの二席目。
先ほどの紅雀さんの高座の途中に帰ったお客さんについて。
帰った理由が、ガスの火を点けたままだったのを思い出したからだったそうだ。
演目は「七度狐」。
庵主さんの表情の変化が楽しい。
優しかったり、不気味だったり。
銅鑼のタイミングが妙であった。
鳴るべき箇所で鳴らなかった。
特に、庵主さんが寺を離れる場面で、鳴り物が入らなかったので、「庵主さ〜ん」の呼びかけが何度も繰り返された。
結局、銅鑼は鳴らなかった。
 
仲入りの後、三席目。
演目は「くっしゃみ講釈」。
先月末の『get's待っツ動楽亭』では結局やらなかったので、今回が本当にネタおろし。
楽しい一席であった。
 
終わって拍手がなかなか鳴り止まない。
お客さんから花束が渡される。
 
暖かな会であった。
 

  • 桂雀五郎       「手水廻し」
  • 桂紅雀        「青菜」
  • 桂こごろう      「強情灸」
  • 桂紅雀        「七度狐」
  • 桂紅雀        「くっしゃみ講釈」